人事・労務

 他社の従業員を「引き抜く」ことは法に触れるのか?【弁護士】

Q; 企業において、例えば営業社員・技術社員等を他社から「引き抜く」場合、これは民法709条不正行為もしくは不正競争防止法に触れる可能性はあるのでしょうか?但し、本人の自由意志の退職によるものとし、前会社の就業規則には、競業避止義務の条項はないものとします。

1.従業員が、競業避止義務の定めのない会社を退職した後、同業を営むことも同業を営む企業に就職することも自由であり、それ自体として違法性を帯びることは原則としてありません。

 

2.しかし、その従業員が、元の会社の「営業秘密」を不正に取得したことを知りつつまたは知らないことに重大な過失がある状況でその営業秘密を取得する行為は、不正競争防止法2条1項5号に該当します。その他、従業員の営業秘密の取得が不正取得行為である場合あるいは不正な利益を得る目的や元の会社に損害を与える目的がある場合などには同項6、8、9号などに該当する場合は有り得ます。但し、不正競争防止法に言う「営業秘密」に該当するには、

 

①秘密管理、

②有用性、

③非公知性

 

の三要件を充たす必要があり、営業秘密に該当しない単なる情報を利用ないし開示する行為は不正競争防止法には違反しません。

 

 

例えば、顧客情報を利用するにしても、会社が管理している顧客リストを不正に持ち出す行為は営業秘密の不正取得行為に該当し得ますが、従業員がみずから担当した顧客情報(従業員の頭の中にある情報)を再就職先で利用する行為は営業秘密の不正取得行為には該当しません。

 

 

 

3.従業員の「引き抜き」行為が、不法行為となる場合も有り得ますが、極めて例外的な場合に限られます。すなわち、有能な人材を好待遇でスカウトするいわゆるヘッドハンティングが自由競争の範囲内の行為として容認されているように、会社の営業の自由あるいは従業員の職業選択の自由のもとでは、かかるスカウト行為は原則として自由というべきだからです。

 

 

 

しかし、「引き抜き行為」の態様によっては、違法性を帯びることも有り得ます(現にそのような裁判例もあります)。違法性を帯びるかどうかの判断基準を一般化することは困難ですが、引き抜く対象人数(多数か少数か)、対象者の地位・役職(重要ポストに就いていたかどうか)、引き抜く時期(多数を同時に引き抜くのかどうかなど)、元の会社情報の利用の程度などが考慮要素となるでしょう

 

2011年

12月

19日

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